

Just push play
午睡から目が覚めると、もう夕方になっていて、 嘘みたいな夢みたいな桃色の空。 家を出て、自転車に乗る。 誰かが起こした癇癪のように突然降りだす雨。 私は構わず自転車をこぐ。 激しい雨。 横殴りに降りつけ、頬にやさしく噛みつく。 どこにむかっているのだろう。...


現在は端から過去へとなりにけり
海へ行った 春の海だ 日差しが強く シートを敷いて寝転がった 幸せについて考える いつかの真夏にサンディエゴのコロナドの海岸で飲んだオレンジビールのことを考えた 自転車に乗って細長い半島を一周したこと アシカの海軍のTシャツを意味も分からずに買って、 ...
政治
政治とはほんの些細な希望と 膨大な絶望とで成り立っていることを忘れてはいけない。 ほんの数パーセントの民意と 残り90%以上の得体のしれないものの意志の総意である。 そういうものにはできるだけ関わらないほうがよい。 傷つくし、疲れるだけで、何かが変わるわけではない。...
Two
人には然るべき時というものがあって、 その然るべき時に然るべきことをしなければならない、 ということを知った日から、 それは私の座右の何とかになった。 ある日、 もしかしたら私の中には誰かがいるのかもしれない、 と漠然と思った。 それは違和感のような ...
One
大きな波の打ち寄せる浜辺で、 私はひざを抱え、その大波を見つめていた。 でも、ここじゃない、 と思いあたって、 立ち上がった。 外国語のガイドブックを持って、 そこへむかおうとしていた。 台風が来ているから無理だろう、 と現地の人は言った。...
たまご
何かに反抗しているように 何かのデモに参加しているように 何か大きなものに立ちむかっているように 何かの散弾銃のように まるで武器のように あるいは刻々と落ちる砂時計のように 止めどなく押し流される意志のように 押し流されて丸くなる石のように たまごを消費していた...


プラスドライバー
朝方の夜泣きで起こされ、そのまま怒涛の1日が始まる。 目覚まし時計でここ数年起きたことはない。 最愛の子どもの泣き声がアラームなんて贅沢なんだろう。 まだまだスヌーズ中の子どもをあやしながら洗濯を始める。 1日に何回も着替えをする子どもたちがいる生活。...


