親の資格
親の資格などというものは存在しないのです。 国もそのような制度は用意しておらず、試験も行われていません。 認可制もとっていなければ、許可制、申告制も取っていません。 そういうことでみんながみんな無資格、無許可で子を育てているわけです。 すべてが整備されつつある世の中で、...
河鹿の湯
伊豆の西平には河鹿の湯というものがあった。 西平には祖母の家があり、 そこへ呼ばれるといつでも河鹿の湯に入らなくてはいけなかった。 小学生の私にとっては河鹿の湯に入るということは、 ある意味において、拷問のようなものだった。 かなりの高温で湛えられた温泉には、...
非・無・不
糸車を回すことで、 世界が変わった。 この世の悪意の言葉の上に 否定語をつけたことで、 その悪意を無効化することに成功した。 暴力に非をつけて、 非暴力とした。 農業をしなさい、とさんざん言っていた。 そうすることでありとあらゆるものが取り戻されるから。...
夏の足湯
真夏日に私とYくんは足湯につかっていた。 「暑いね」と私は言った。 Yくんはアイスキャンディを買ってくれた。 「何だかうまくいかないね」 私とYくんは種類は違えども同じ重さの悩みを抱えていた。 わたしのは雲のようなもので、 Yくんのは弾丸のようなものだった。...
飴売爺爺
飴売爺爺がやってきて、 子どもたちは喜んでいた。 私はそれを遠くに眺め、 「彼とは仲良くしないといけないな」 と、きちんとわかっていた。 飴売爺爺はやってきて、 難しい漢詩を詠むから本当にいやになる。 「スモモの味をいただくよ」 私はこれ以上漢詩を聞きたくなかった。...


