非・無・不
- Masumi Nakahara
- 2017年6月3日
- 読了時間: 1分
糸車を回すことで、
世界が変わった。
この世の悪意の言葉の上に
否定語をつけたことで、
その悪意を無効化することに成功した。
暴力に非をつけて、
非暴力とした。
農業をしなさい、とさんざん言っていた。
そうすることでありとあらゆるものが取り戻されるから。
「そうですか、そうなんですか」
あいまいな返事をすると、
相手の大志はくじかれた。
大型百貨店のようなところで
ストライキを主導した。
あくまで平和に。
私は延々と糸車を回し、
少しずつ少しずつ生産をしていた。
カタツムリのように、
少しずつ糸は紡がれていた。
それに君は安心し、
私は安心し、
世界が丸くなったようだった。



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