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ここでもどこでもいつでも

  • 執筆者の写真: Masumi Nakahara
    Masumi Nakahara
  • 2017年5月18日
  • 読了時間: 2分

夜10時、修善寺を歩いていた

あるいは湊2丁目を歩いていた

初夏のひんやりとした空気を肌で感じ、

大きく吸い込んだ

数年前の自由を思い出して泣きたくなった

桂川に沿って歩いた

ほろ酔いの帰り道

こんな経験をするのは何年ぶりだろう

隅田川に沿って歩いていた

泥酔の帰り道

ベンチに座って2時間、

わたしのために書かれた音楽を聴いていた

帰りたくないな、と思えば帰らなくてよかった

あれはまぎれもない自由だったんだ

「無理して笑うその表情がいたいたしい」

誰かがそう歌った

まったくわたしのことをわかってない

コンビニで小さなビールとスナックを買う

まだ帰りたくなかった

駐車場に座って月でも見ようか

数年ぶりに吸ったほろ酔いの帰り道の空気

月がきれいですね、と夏目漱石は言った。

魔法が解けたみたい、と言ってがまがえるになった私を振ったあの男のことを思い出してみる。

涙が止まらないや、

初夏のひんやりとした空気

夏が始まる高揚感をはらんで一瞬で通り過ぎる季節

夜の散歩というものはなんて素敵なんだろう

桂川を吹き抜ける風

私は今、ここにいる

ここでも

どこでも

水分を多く含んだ川風は夏を運んでくる

そしてその風が素肌を撫でれば

いつでもあの自由な夜に戻れる

ここでも

どこでも

いつでも

夜はそこにあり、

みな鳥になり、あの月を目指すだろう

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