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螺旋状

  • 執筆者の写真: Masumi Nakahara
    Masumi Nakahara
  • 2017年3月24日
  • 読了時間: 2分

みなさんは自分が1歳になった時のことを覚えていないと思う。

私も覚えていない。

今年、1歳になる人を目の当たりにして思ったことは、

地球は同じ軌道をまるまる一周したかもしれないけれど、

彼は昨年とは全く別のところにいるということだ。

何度も誕生日を迎えている私なんかからしたら、

1年経って地球は全く同じ場所に戻って、

それをしるしとして私もひとつ年を取ったんだと、

自分のいる位置に不信感を抱いたりしなかったし、

35歳の私としてみれば、

34歳も35歳も大差なく、

何が変わったのかもあまりよくわからないので、

地球が一周したように私もただ一歳年を取っただけのような気がしていた。

ただ34歳からの35歳と

0歳からの1歳には致命的な差があって、

私はそれをそばで観察して、

それを「成長期の螺旋状的自転」と

名付けてみたのである。

よくわからないけれど、

人は地球のように一周回って年を取るのではなく、

螺旋状に旋回して少しまた別の場所にたどり着いているのであるという気がしている。

人生のピークまではできることが多くなり、

それを過ぎるとできないことが多くなっていく。

34歳から35歳までの1年間のことを考える。

できるようになったことも

できなくなったこともない。

ただまるまる一周、

何も変わっていないように感じられる。

今少し想像して恐ろしくなったのは、

82歳と83歳の1年間のほうが全く変わりのない1年だということ。

そういうことで人間の年月というものは螺旋状的で

はじめはダイナミックに

それから徐々に円運動的に収束し、

自身の衰えを感じることさえできずに、

1年前の自分と区別できなくなってしまう。

正面から見たらただの円であるような一年も

横から見れば螺旋状であった一年であり、

そういうものであることを中年の人たちにも気付いてほしいと思っている。

 
 
 

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